現役コンサルタントが解説!業務プロセス改善のフローとは?~問題の可視化編~

こんにちは、中小企業診断士の吉岡です。

私は、中小企業診断士として独立前は、コンサルティングファームに在籍しており、
多くの企業の業務効率改善/生産性向上支援を行ってきました。

本稿では、その際に心掛けていたことを紹介して、皆様の現場で業務効率/生産性改善するためには、
どのような流れで行っていけば良いのか、ご説明します。

なお、今回は前編として、課題の見つけ方 にフォーカスします。

目次

業務プロセスを改善するときの型を覚える

業務効率/生産性の改善は、型があります。

いきなり課題に向き合うのと、型を覚えてから課題に向き合うのでは成功率は大きく異なります。

特に、中小企業の場合には、システム導入や業務プロセスの変更、運用手法の改善などを、
初めて行う社員も多いと思います。

そのような方々にとっては特に、型を覚えて、その通りに実践するだけでいい というのは、
心理的なハードルを大きく下げる効果を持ちます。

業務効率改善の型とは

では、業務効率/生産性を改善するときの型とはなんでしょうか。早速紹介していきます。

  • 目的と前提条件を整理する
  • 業務を洗い出し、整理する
  • 業務の流れを可視化する
  • ボトルネックとなっている工程を特定する
  • 小さく改善を実行する
  • 効果を検証する
  • 組織に定着させる

基本的には、上記のステップに則ることで、既存業務の運用変更はうまくいくケースが多いです。
しかし、多くの企業では、いきなり実行に入り、失敗してしまうことをよく見てきました。

ある程度、熟練の担当者や、改善文化が定着している組織であれば、それでもうまくいくケースはありますが、
最初は、一つ一つのプロセスをしっかりと踏んだ方が、成功確率は高まるでしょう。

それでは、ここから個別のプロセスに関して、もう少し掘り下げていきます。

なお、本記事では、ボトルネックとなっている工程を可視化する というところまでを対象とします。

目的と前提条件を整理する

当たり前の話ですが、業務プロセスの改善を行うにあたって、何のために行うのかの整理は極めて重要です。

ここが明確になっていない場合、そもそも運用改善の必要性が説明できず、関係者の理解を得ることが難しいでしょう。

運用改善は一人で行うことができませんし、運用改善後の影響は他の部署や人間にも波及します。

なぜ、それを行うのか、ということは事前に明確にしておきましょう。

私の経験則ですが、100%の業務効率/生産性改善が達成できるケースは稀で、一部の妥協が残る場合が多いです。

その業務改善に取り組む目的は何で、その取り組みを通じて何を改善したいか
明確化しておくことで、妥協して良い部分と、妥協してはいけない部分が見えてきます。

業務時間の削減や、属人化の解消、費用の削減、正確性の向上、残業時間の削減など、
業務改善を行う目的は、多岐に渡ります。

それぞれの目的に応じて、必ず達成しなければいけないことと、
そうではないことの重みづけを適切に行うことができるようになります。

業務改善は、万能な正解を探す作業ではありません。
目的に照らして、何を優先するのかを決める作業です。

その起点としても、
まずは目的と前提条件を整理することが欠かせません。

業務を洗い出し、整理する

例えば、業務効率化をしたい場合において、特に経営層は、○○部門の△△という業務にムダが多い!
明確に指摘できることは少ないでしょう。
これは、現場から離れれば離れるほどその傾向が強くなってきていて、担当部長や課長ですら、
具体的に課題を把握しているケースは少ないです。

肌感覚で、○○部門が大変そう、○○部門のやり方がもっと効率化できそう、という動機によって、
業務効率改善のプロジェクトが開始されることが多いと感じています。

その場合において、どの業務の負担が大きく、効率化の余地が残っているかの選別は
非常に重要となってきます。

それらを明確にするために、まずは日報などで、各人の業務負担を可視化することから始めましょう。
月に100時間かかっている業務と、月に1時間かかっている業務とでは、効率化のインパクトは当然に異なります。

私の場合には、対象となる部署全員に最低一か月日報を出してもらい、
どの業務にどれだけの時間をかけているかを分単位で算出します。

まずは何をしなければいけないのか、この工程を通じてボトルネックを洗い出します。

現場主導の場合には不要なのか?

ここで、現場主導で、業務効率改善プロジェクトを行っている場合、
この工程は不要なのか?という疑問が湧いてくるかと思います。

結論からいうと、その場合においても本工程は非常に大きな意味を持ちます。

先に述べた通り、経営層は各部署の各人がどれだけの業務負担を抱えているかわかっていません。

業務効率/生産性向上は、基本的には日常業務の間を縫ったり、日常業務の負担を調整して行います。
また、運用改善方法によっては、費用負担を伴います。

その際に、なぜ、この業務を改善し、生産性を上げなければならないのか、の根拠として、
業務負担を可視化した資料は強い説得力を持ちます。

そのため、担当者がその負担感を理解していたとしても、業務負荷の可視化は
しっかりと行いましょう。

業務の流れを可視化する

対象となる業務が決まった後は、業務フローの可視化を行います。

この際には、必ず図を用いて行うようにしましょう。人間は画像的に情報を処理する方が得意です。

実際の業務フローを図に沿って整理することで、業務の流れや関係者が一気に整理することができ、
それぞれの工程で何が起こっているのかが良く理解できます。

この工程での注意点を何点か紹介します。

関係者すべてをフローに乗せる

自分や、自部門だけでなく、関係部署や取引先も業務フロー図に掲載しましょう。

また、自部門で複数の登場人物が登場する際には、その人物も記載すべきです。

多くのケースにおいて、ボトルネック工程や、イレギュラー工程は、部門の外を出る時に起こります。

自身の業務フローを作成する際には、自身が手を動かす部分にフォーカスしがちですが、
可能な限り、範囲を広げて記載するようにしましょう

項目の粒度を揃える

項目の粒度を揃えることも重要です。

特定の部分のみ、細かく記載を行ってしまうと、本当の課題を見逃しがちですし、
特に読み手の立場からすると、読解に労力を割くことになってしまいます。

特別細かな説明が必要な場合には、その部分のみ、別紙で業務フローを作成しましょう。

例えば、請求書発行 という業務において、現実には締め処理・販売管理システムへ発行指示・印刷・封詰め など、
作業レベルに起こすとたくさんの業務があります。

しかし、他部門や取引先まで記載している粒度のフローにおいては、細かすぎると言えます。

例外処理を除外しない

特別対応が必要な取引先や、この締め日の場合にはこの対応をしないといけない、
この部門にはこの手当てがある、などの例外処理はどの会社にも存在します。

理想は、そのような例外処理をなくすことではありますが、中小企業の場合には、
そのようなわけにもいかないことも事実です。

特にシステム導入を前提とした場合には、システムをもって、どのように例外処理を実現できるようにするかが、
必ずシステムの検討中に議論となります。

最悪なのは、導入後にシステムでは対応不可とわかることです。

そのような事態を避けるためにも、必ず例外処理も業務フローの図に起こして、
どこが例外で、どのような処理が必要なのかを、整理しておきましょう。

ボトルネックとなっている工程を特定する

ここまでで、特に負担の重い業務と、その業務のフロー図が出来上がっています。

そこを改善すれば、今抱えている課題が解決するとわかったことは良いものの、
どのように行えばよいかということがわからないという場合が多いのではないでしょうか。

わかっていれば既に改善に向かっているはずですので、考えてみれば当然です。

ここでは、業務効率/生産性向上の対象となりやすい分類の業務を紹介します。

皆様の業務の工程にそれがあれば、それがボトルネック工程となります。

繰り返し業務

例えば、大量のデータ入力(勤怠データや仕訳処理 など) や請求書の入力、
店舗から届いたデータの入力など、の繰り返し処理がボトルネック工程になっているケースが多いです。

これらの業務は多くの時間を要することが多く、システムやITを用いて、改善できる見込みの多い業務となります。

これらの業務負荷を軽減することが出来れば、その方自身の生産性も向上できますし、
こういった改善が積み重なることで、必要人員数の見直しにも繋がります。

資料の組み替えが主となる業務

複数の資料から数値を抜粋し、それらを基に一つの報告資料を作成する業務も
運用改善の対象になりやすい業務です。

特に複数の拠点や部署を持つ企業においては、それぞれの店舗からの数字を基に、
管理会計や営業状況の把握を行うことが多いでしょう。

それらの資料の組み替えや、組み替えた資料の数値を基になんらかの分析を行う場合でも、
集約作業というものは業務効率の削減に繋がりやすい業務です。

属人化している業務

特定の人しかできない、
またはその人がいないと止まる業務です。

この場合、
「その人が忙しい」ことが問題なのではなく、
業務の引き継ぎや分解ができていないことが問題です。

属人化は、業務効率と同時に
リスク管理の観点でも見逃せません。

手戻り・修正が多い業務

入力ミス、認識違い、前提条件のズレによって
何度もやり直しが発生する業務です。

・依頼内容が曖昧
・ルールが統一されていない
・確認ポイントが後工程にある

こうした構造は、
表に出にくいボトルネックになります。

まとめ

本稿では、業務効率・生産性向上を目的とした業務プロセス改善について、
まずは課題を見つけるための型と考え方を整理しました。

業務改善というと、
「何を変えるか」「どのツールを使うか」に目が向きがちですが、
実務においては、その前段階である
目的の整理、業務負荷の可視化、業務フローの把握が成否を大きく左右します。

特に、
・なぜこの業務を改善するのか
・どこに負荷が集中しているのか
・業務がどこで滞っているのか

これらを整理しないまま改善に着手すると、
効果が出ないばかりか、現場の混乱を招くケースも少なくありません。

今回紹介したプロセスを通じて、
繰り返し業務や資料の組み替え、属人化、手戻りといった
改善対象になりやすいボトルネック工程が見えてくるはずです。

業務プロセス改善は、
いきなり正解を出す作業ではなく、
正しく課題を捉える作業から始まります。

次回の後編では、
ここで特定したボトルネック工程に対して、
どのように改善策を検討し、実行・定着させていくのかについて、
具体的な考え方を整理していきます。

まずは今回の内容を参考に、
自社の業務を一度「立ち止まって眺めてみる」ことから始めてみてください。

また、自社において
「無駄な仕事があるのではないか」
「もっと良いやり方があるのではないか」
と感じているものの、どこから手を付ければよいかわからない場合には、
一度、業務の棚卸しから一緒に整理することも可能です。

業務効率や生産性に関するお悩みがありましたら、
お気軽にお問い合わせください。

執筆者

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吉岡 翼(よしおか つばさ) 中央大学法学部法律学科卒業。独立系コンサルティングファームにて、東証プライム上場企業から、中堅中小企業の経営支援に幅広く従事し、全てを成功に導く。特に、経費削減・業務改善・システム導入・財務改善・人材育成を主軸とした経営改善に注力。 その後、兵庫県姫路市の会社に入社。総務部門を起点に、経営企画・人事制度構築・教育制度設計・DX推進など、全社横断的な社内コンサルティングを担当。組織風土改革と人材定着に成果を挙げ、現在は工場長として現場運営の最前線を担う。2023年、中小企業診断士としての登録を行い、コンサルティングファームや現職で培った経験をもとに、企業の支援を行う。
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