NotebookLMとGoogle Geminiを活用したスライド資料作成の効率化ガイド

ビジネス現場では、プレゼン資料や提案書、報告書など様々なスライド資料が求められます。その一方で、次のような課題に直面することが多いのではないでしょうか。

  • 構成案の検討に時間がかかる
  • 伝えるべき内容と順序を整理するのが難しい
  • 過去資料が活用されず、毎回ゼロから作成している

本記事では、GoogleのAIツールであるNotebookLMGoogle Geminiを組み合わせて、スライド作成を効率化する手順を具体的に解説します。ITの専門知識がない方でも段階的に実践できる内容です。

目次

NotebookLMとGeminiとは?

Gemini(ジェミニ)とは?

Geminiは、Googleが提供する対話型の生成AIです。ChatGPTと同様に、質問や指示を投げかけると、自然な文章で回答してくれます。

主な特徴:

  • 対話形式でアイデアを引き出せる
  • 文章の作成、要約、翻訳など幅広いタスクに対応
  • Canvas機能を使えば、Googleスライド形式で直接出力可能

どんな時に使う? → ゼロからアイデアを発想したい時、文章を洗練させたい時

NotebookLMとは?

NotebookLMは、自分の資料(PDF、テキスト、ウェブページなど)をアップロードして、その内容をもとにAIが要約や分析を行ってくれるツールです。

主な特徴:

  • 自社の資料や情報をベースに回答してくれる
  • DeepResearch機能で、ウェブ上の情報を調査・整理できる
  • スライド作成機能で、アップロード資料からPDF形式のスライドを生成

どんな時に使う? → 既存資料をもとに新しい資料を作りたい時、調査・リサーチが必要な時

両方を組み合わせることで、最も効率的なワークフローが実現できます。


AIを使ったスライド作成方法

それでは、具体的な作成手順を見ていきます。

ステップ1:NotebookLMに必要な資料を読み込ませる

まず、NotebookLMに以下のような資料を読み込ませます。

  • 過去のプレゼン資料(PDF)
  • 商品・サービスの説明資料
  • 社内の議事録やレポート
  • 参考にしたいウェブページ

DeepResearch機能も活用

もし社内資料だけでは情報が足りない場合、NotebookLMの「DeepResearch」機能を使って、ウェブ上の情報を自動で調査・整理してもらうことも可能です。

例:「中小企業のDX推進における課題と成功事例を調査してください」

ステップ2:構成と記載内容を作成する

資料を読み込んだら、次のようなプロンプト(指示文)でNotebookLMに構成案を作ってもらいます。

プロンプト例:

社内勉強会向けのスライド資料の構成及び内容を作成してください。

NotebookLMが、アップロードした資料の内容を踏まえた構成案を提示してくれます。

出力例:

社内勉強会用スライド資料構成案
テーマ: 2025年のDX最前線と実践へのロードマップ 〜なぜ今、我々は変わる必要があるのか〜
スライド全体の流れ(アジェンダ)
1. 【基礎・背景】 DXとは何か?なぜ今必要なのか(2025年の崖)
2. 【現状分析】 日本企業の現在地と抱える課題
3. 【トレンド】 未来を変える2025年のDXトレンド
4. 【実践論】 成功のための3段階ロードマップとツール
5. 【組織・人】 DX人材の育成と組織文化の変革
6. 【まとめ】 明日から始めるファーストステップ
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スライド1:タイトル
• タイトル: 2025年に向けたDX推進の現在地と未来
• サブタイトル: 成功へのロードマップと自走する組織づくり
• 発表者: [発表者名]
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スライド2:DX(デジタルトランスフォーメーション)の再定義
【見出し】単なる「デジタル化」で終わらせない
• DXの定義
    ◦ デジタル技術を活用し、業務プロセス、ビジネスモデル、企業文化を変革し、競争上の優位性を確立すること,,。
    ◦ 単なるITツールの導入(効率化)にとどまらず、顧客価値の向上や市場創出を目指すもの。
• 3つの段階(混同しがちな概念の整理),
    1. デジタイゼーション(Digitization): アナログ・物理データのデジタル化(例:紙書類の電子化)。
    2. デジタライゼーション(Digitalization): 個別の業務・製造プロセスのデジタル化・最適化(例:RPAによる自動化)。
    3. デジタルトランスフォーメーション(DX): 組織横断的な変革、ビジネスモデルの変革。
• キーメッセージ: 私たちが目指すのは、デジタル化の先にある「ビジネス変革」です。
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スライド3:なぜ今DXが必要なのか?「2025年の崖」
【見出し】現状維持は最大のリスク
• 2025年の崖とは
    ◦ 既存システムの老朽化・ブラックボックス化を放置すると、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じるリスクがある,。
• DXを推進しない場合のリスク
    ◦ IT予算の9割以上が維持管理費に消え、新規投資ができなくなる,。
    ◦ 爆発的に増加するデータを活用できず、デジタル競争の敗者となる。
    ◦ 取引先や行政からのデジタル化要請(インボイス、電子契約等)に対応できず、取引機会を失う。
• 得られるメリット
    ◦ 業務効率化・コスト削減だけでなく、新規事業の創出や売上向上につながる,。
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スライド4:2025年のDXトレンドと技術
【見出し】未来を変えるテクノロジーと潮流
• 注目すべきトレンド10選(抜粋),,
    1. 生成AI(Generative AI): コンテンツ制作、顧客対応(チャットボット)、業務自動化での活用が加速。
    2. スマートファクトリー(IoT): 製造現場の可視化、予兆保全による効率化。
    3. デジタル免疫システム: サイバー攻撃への自動検知・対応によるセキュリティ強化。
    4. サステナブルDX(ESG): 環境・社会・ガバナンスへの対応とデジタルの融合。
    5. 業種を超えた連携: 医療×IT、小売×金融など、新たなビジネスモデルの創出。
• データドリブン経営
    ◦ 経験や勘ではなく、データ分析に基づいた迅速な意思決定が競争力の源泉となる,。
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スライド5:DX推進の現状と「4つの壁」
【見出し】なぜDXは進まないのか?
• 普及率の現状
    ◦ 日本企業のDX取組率は、大企業で約65%に対し、中小企業は約27%にとどまる,。
    ◦ 世界比較:米国企業の89%がDXの成果を実感している一方、日本は戦略や人材に課題。
• 阻害する4つの構造的課題,,
    1. 人材・ノウハウ不足: 社内に推進できるリーダーや実務者がいない。
    2. 予算の制約: 投資対効果(ROI)が見えにくく、予算が確保できない。
    3. レガシーシステム: 古いシステムが足枷となり、新技術と連携できない。
    4. 企業文化・リーダーシップ: 現状維持バイアス、経営層のコミットメント不足、「内向き志向」による全体最適の欠如。
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スライド6:成功へのロードマップ(スモールスタート)
【見出し】身近な業務から始めて、全体変革へ
• 段階的推進のステップ,,
    ◦ Phase 1:デジタイゼーション(基礎)
        ▪ 紙のアナログデータの電子化、チャットツールの導入。
        ▪ 目的:業務の「見える化」と基礎データの蓄積。
    ◦ Phase 2:デジタライゼーション(効率化)
        ▪ RPA(WinActor等)による定型業務の自動化、SaaS導入。
        ▪ 目的:コスト削減と業務時間の短縮。ここで出した成果(ROI)を次の投資原資にする。
    ◦ Phase 3:トランスフォーメーション(変革)
        ▪ 蓄積データの活用による新サービス開発、顧客体験の変革。
• 成功事例に学ぶ
    ◦ 有限会社ゑびや: そろばん会計からスタートし、7年かけてAIによる来客予測システムを開発。売上5倍・利益50倍を達成。
    ◦ WinActor活用事例: 発注票作成時間を5分→1分に短縮、年間数百時間の業務削減など,。
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スライド7:DX人材の育成戦略
【見出し】「外部任せ」から「内製化」へ
• 求める人材像
    ◦ デジタル技術活用型: AIやツールを使いこなす実務者。
    ◦ 業務部門変革型: 現場業務を熟知し、DXで課題解決をリードするプロデューサー。
• 育成のポイント
    ◦ ハイブリッド育成: 社内研修(業務理解)と外部研修(最新技術)の組み合わせ,。
    ◦ リスキリング(学び直し): 既存社員にデジタルスキルを習得させる。
    ◦ 公的支援の活用: 「人材開発支援助成金」や「IT導入補助金」を活用し、低コストで育成・導入を行う,,。
• 生成AIの活用
    ◦ プログラミング知識がなくても、生成AIやノーコードツールを使えば現場主導で業務改善が可能。
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スライド8:組織文化とマインドセットの変革
【見出し】失敗を許容し、挑戦する文化へ
• 経営層・リーダーの役割
    ◦ 明確なビジョン(5年後、10年後の姿)を示し、全社に浸透させる,。
    ◦ 単なるIT導入ではなく「企業変革」であるというメッセージの発信。
• 現場のマインドセット
    ◦ 「失敗=悪」ではなく、「失敗=学習プロセス」と捉えるアジャイルな文化へ,。
    ◦ 部署の垣根を超えた連携(全体最適)を意識する。
• 評価制度
    ◦ 変革への挑戦やプロセス自体を評価する仕組みの導入。
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スライド9:まとめ・アクションプラン
【見出し】明日から私たちができること
1. 現状の可視化: 自分の業務で「アナログな作業」「繰り返し作業」がないか洗い出す,。
2. スモールスタート: 無料の生成AIツールや、RPAのトライアルを使ってみる,。
3. 学びの習慣化: DX関連のニュースに触れ、社内で共有する場(勉強会など)を作る。
4. 意識改革: 「IT担当任せ」にせず、自分ごとの課題として捉える。

ステップ3-1:NotebookLMのスライド機能で出力(PDF形式)

NotebookLMには、読み込んだ資料をもとにスライドを作成する機能があります。この機能はワンクリックでスライド化できるため、手間をかけずにスライドを作成できます。ただし、2025年12月現在ではPDF形式の出力にのみ対応しているため、デザインのカスタマイズに制限がある点が課題です。

NotebookLMの「スライド資料」ボタンを押すことで、アップロードした資料に基づくスライド作成が開始します。また、資料の構成・デザイン等を指示する場合にはペンマークをクリックするとカスタマイズ画面に移行します。

スライド資料のカスタマイズの画面で、形式・長さを選択した後、「作成するスライドについて説明してください」の枠に先ほどの構成案を入力することで、構成案に沿ったスライドが完成します。

スライド機能の設定例

スライド出力例:

ステップ3-2:GeminiのCanvas機能で出力(Googleスライド形式)

より編集しやすいスライドを作りたい場合は、NotebookLMで作成した構成案をGeminiに渡します。Geminiで作成した場合、Googleスライドに出力できるため直接編集することができます。GoogleスライドからPowerPointに変換することもできます。

手順:

  1. NotebookLMで生成した構成案をコピー
  2. Geminiを開き、以下のようなプロンプトを入力:
以下の構成案をもとに、スライド形式のプレゼン資料を作成してください。
Googleスライド形式で出力できるようにしてください。
[ここにNotebookLMの構成案を貼り付け]
  1. Geminiが「Canvas」モードで、Googleスライド互換の形式で出力
  2. Googleスライドにエキスポート

スライド出力例(PDF変換済み):

実例紹介:こんな資料に使えます

1. 営業資料

  • Before: 毎回、競合情報や事例を調べ直すのに時間がかかっていた
  • After: 過去の提案書をNotebookLMに読み込ませ、新しい顧客向けにカスタマイズした資料を30分で作成

2. 社内研修資料

  • Before: 新入社員向けの研修資料を、毎年ゼロから作り直していた
  • After: 昨年の資料と最新の業務マニュアルを組み合わせ、更新版を1時間で完成

3. 事業計画・報告書

  • Before: 複数の部署からの情報を集約し、整理するのに丸一日
  • After: 各部署の報告書をNotebookLMにアップし、統合版の構成案を自動生成。その後、Geminiで仕上げ


注意点と活用のコツ

1. プロンプト(指示文)の工夫が成果を左右する

AIは優秀なアシスタントですが、「何を求めているか」を明確に伝える必要があります。

良いプロンプトの例:

  • 「〇〇向けの資料を作成してください」(対象を明確に)
  • 「各スライドは3〜5項目にまとめてください」(分量を指定)
  • 「ビジネス向けのトーンで」(文体を指定)

曖昧な指示だと、期待通りの結果が得られないことがあります。最初は試行錯誤が必要ですが、何度か使ううちに狙ったスライドを出力できるようになります。

2. 機密情報の扱いに注意

AIツールに社外秘の情報や個人情報をアップロードする際は、十分な注意が必要です。

  • 各ツールの利用規約とプライバシーポリシーを確認
  • 機密性の高い情報は、匿名化・加工してから使用
  • 必要に応じて、社内でガイドラインを策定

3. AIの出力を鵜呑みにせず、最終チェックは人が行う

AIが生成した内容は、あくまで「たたき台」です。事実確認、表現の調整、デザインの最終チェックは、必ず人間が行いましょう。

特に、数字やデータの正確性、取引先名などの固有名詞は、入念に確認してください。


まとめ:まずは小さな一歩から始めよう

AIツールの活用は、決して難しいものではありません。まずは、社内向けの簡単な報告資料や、定例会議の資料など、小さな資料から試してみてください。

(執筆:坂下武志)

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